岩手県は、本州一の森林面積を有する「森林県」
国土の約7割を森林が占める日本。
その中でも、岩手県は、県土の約8割(約77パーセント)を森林が占めている「森林県」です。
岩手県の森林面積は約117万ヘクタールで、本州一の面積を有しています。
◉ 岩手の森林は針葉樹だけでなく広葉樹も豊富
岩手県の森林は、県の木であるナンブアカマツをはじめとする、スギやカラマツなどの針葉樹のほか、ナラやクリ、ケヤキなどの広葉樹も豊富です。
多様な樹種がバランスよく生育しているのが、岩手の森林の特徴です。
真っ直ぐな幹を持ち、材質は軟らかで木理が真っ直ぐで割りやすいです。
《用途:建築材、建具材、電柱、家具、桶樽材、箸など》
岩手の県木として知られる「ナンブアカマツ」は、重硬で強度が高く加工性に優れています。
《用途:寺社仏閣など文化財の建築用材、家具材、土木用材など》
材質はやや重硬で強度が高く、割れや反り等が出やすい性質も加工技術の発達により克服されています。
《用途: 建築・土木資材、家具材、外構材など》
緻密で重く、木目が美しい材質です。その香りの良さから、ウイスキーやワインの樽への需要も高まっています。
《用途: 床材、家具、化粧単板、枕木材、薪炭材(小径木)など》
堅さと弾力、反張力に富み、水潤にも強く高い耐久性を誇ります。岩手県産は真っ直ぐに育つのが特徴です。
《用途: 建築材、家具材、薪炭材など》
やや硬めの材質で、木目が細かく、目が詰まっています。硬い割に感触が良く、木のぬくもりが楽しめます。
《用途:箸やスプーンなどのカトラリー、器、まな板など》
独特の光沢を持ち、軽軟で加工性が良く、割れや狂いが少ないのが特徴です。
《用途: 造作材、内装材、家具、染料(樹皮) など》
木目が比較的はっきりと現れ、硬さと弾力があるのが特徴です。高い木だと最大30mにもなる、高く成長する木ですので、均一で安定した素材を取ることができます。
《用途:家具・フローリング・スポーツ用品など》
北東北がその北限で、日本を代表する樹木です。木目が美しいのが特徴です。
《用途:社寺の構造材、造作材、家具、工芸品 など》
やや軽軟で艶があり、加工しやすい材質。大径木のため大きな板を得ることができ、仕上げ面には美しい木目が現れます。
《用途:内装用材、家具材、工芸品など》
特有の絹糸光沢があり、波状杢(はじょうもく)などの美しい木目を持つことが多いとされています。
《用途:床材、家具、弦楽器の側板・裏板など》
適度な堅さと軟らかさを持ち、反りにくく加工がしやすいという特徴があります。
《用途:家具材、化粧用単板、裁ち台、囲碁・将棋の盤など》
◉ 岩手の森林の約4割は「人工林」
「人工林」とは、人の手によって苗木を植え、育てられた森林のこと。
岩手の森林の約4割に当たる約48万ヘクタールは、数十年にわたり、人の手で大切に育てられてきた「人工林」です。
戦後に造林された人工林の多くが、木材として利用するために伐採することができる時期を迎えています。
◉ 素材(原木)の生産量は全国3位
豊富な森林資源を有する岩手県は、古くからの木材生産地。
1年間に県内の森林から生産される素材(原木)の生産量(令和3年)は、約140万立方メートルで、北海道、宮崎県に次いで全国3位です。
特に、ナラ、クリ、ケヤキなどの広葉樹の素材(原木)生産量は、約20万立方メートルと、北海道に次いで全国2位を誇ります。
◉ 多様な用途に使われている岩手の木材
岩手の木材は、住宅建築や家具など、用途や目的に合わせ、幅広く活用されています。
針葉樹は、スギやカラマツが住宅の柱や梁など、大径のアカマツが、寺社・仏閣などの文化財の建築用材等に利用されており、広葉樹は、内装材や家具などのほか、オリンピックで使用された卓球台の脚の部分や、バドミントンのグリップ部分などのスポーツ用品にも利用されています。
◉ 公共建築物の木造率は、岩手県が全国1位
令和2年度における都道府県別の公共建築物※の木造率は、岩手県が41.1パーセントと、令和元年度に続き2年連続で全国1位となりました。
(令和2年度の全国平均は13.9パーセント)
※公共建築物:国及び地方公共団体が建築する全ての建築物並びに民間事業者が建築する教育施設、医療・福祉等の施設の建築物をいいます。
大切な森の循環
私たちは、長い歴史の中で、様々な形で木を利用してきました。
木材は、石油等と比べると、比較的短い期間で再生産できる素晴らしい資源です。
また、森林は成長過程で二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献していますが、森林が老齢化するにつれて二酸化炭素の吸収量が減少するため、水源の涵養や土砂災害の防止等の役割とのバランスを考えながら、少しずつ森林の若返りを図ることが重要です。
豊かな森林資源を木材として有効活用することは、「植える、育てる、使う、植える」という森の循環を産み出し、土砂災害や地球温暖化の問題から私たちの暮らしを守る、健全な森林の育成につながります。
◉ 木材の生産
森林は、建物の柱や家具、紙等の材料として、私たちの暮らしに欠かすことのできない「木材」を供給しています。
木材は、他の資材に比べて、製造・加工する時のエネルギーの消費が比較的少なく、再利用・再生産することが可能な資源です。
また、木材を積極的に利用することは、地域の林業・木材産業を元気にして、地域経済の活性化にもつながります
◉ 地球温暖化の防止
森林は、大気中の二酸化炭素を吸収・固定し、木材として利用した場合は長期間にわたって固定した炭素を貯蔵します。
また、木材を燃やした時には二酸化炭素が排出されますが、新たに植えた木が成長の過程で吸収してくれますので、長期的に見れば、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えません。
このように、木材は「カーボンニュートラル」という特性を有しており、木材の積極的な利用は、地球温暖化の防止に貢献します。
◉ 水を蓄え、山崩れを防ぐ
森林の土には、雨水を蓄えて、きれいにしながら、ゆっくりと流し出すダムのような働きがあります。
また、森林は、土の中に張りめぐらされた木の根で、土や岩をしっかりとおさえ、雨や雪が降っても土砂が動いたり、流されることを防ぎます。
このように、森林は、下流に住む人々の暮らしを洪水や渇水から守っているのです。
◉ 多様な生物のすみか
森林は、動物や昆虫、植物などの多くの生き物のすみかになっています。
森の豊かなめぐみが、多くの命を育んでいます。
◉ 自然や景観を楽しむ
森林を眺めたり、散歩をしたりすると、楽しく、すっきりとした気持ちになります。
森林には、人に安らぎを与えたり、心や体をほぐしたりする効果があります。
木材の効果・性能
木材は、断熱性や調湿性などに優れ、衝撃を緩和する効果が高いなどの性質を持っています。
また、木の香りで人をリラックスさせたり、木の印象が建物への愛着を高めたりするなどの効果も期待されます。
ジメジメした空間では湿気を吸収し、乾燥している時には水分を放出します。
木材は熱が伝わりにくいため、夏は涼しく、冬は暖かい空間を生み出します。
木材には、目には見えないミクロの孔があり、音を適度に吸収するため、落ち着いた環境づくりに効果的です。
木の香り成分により、森を散策したようなヒーリング効果が得られ、睡眠の質も安定すると言われています。また、木の香りには、体をリラックスさせる効果があると言われています。
紫外線を吸収し、光を和らげるので目への負担を減少させます。また、天然の模様が生み出す木肌が美しく、飽きがきません。